セカンドライフとゲームを題材とした映画が、本日オープニングを迎えた、今年度の、名声あるカンヌ国際映画祭で上映されている。映画のタイトルはRU Thereという。
オランダ/フランスの製作で一部が台湾、そしてセカンドライフで撮影された。ストーリーは、美しい台湾女性に恋するプロゲーマーの話だ。女性は彼に、メタバースの中で関係を深めていくことを求める。非常に素晴らしくお洒落な、言うなれば、ウォンカーウァイがカウンターストライクに出会ったような予告編をチェックして欲しい:
RU ThereはカンヌのUn Certain Regard(ある視点)部門で上映されている。この部門は、注目に値する手法で「オリジナルであり、他と異なっている」国際的な映画の為の部門である。以前のエントリーでは、昨年大成功したPrecious、Hou Hsiao HsienのFlight of the Red Balloon、そしてRichard LinklaterのA Scanner Darkly(この映画は、セカンドライフの中でプロモーションされた)がある。RU Thereの競争相手となる映画は、存命している世界で最も素晴らしい監督の一人、Jean-Luc GodardのSocialismeなどだ。言いかえれば、これはとてつもないビッグディールなのである。
RU Thereは、"LilyRukai Camino"と"Cameraman Haiku"いうアバターで時折SLを訪れているDavid Verbeekによって監督された。私は彼とコンタクトを取ろうと試みたが、カンヌの最中なので、色々と忙しいようだ。幸いなことに、私は映画のエディターSander Vosにインタビューをすることが出来た。彼は、最初にVerbeekへセカンドライフを紹介した人物だ。「Davidは、現代生活の矛盾と、人間的な心の必要性との対比に強く惹き付けられました。」Sanderは、私にこのように言った。「彼が以前に製作した映画を編集していた時、私は毎日SLにログインしていたので、彼にその様子を見せたのです。」(VosのSLアバターは、"RL Karkassus"という。)Verbeekがそこで見たもの、そしてSanderが彼に話したことが、彼の次のプロジェクトにセカンドライフを登場させるというきっかけとなったのだ:
「私は彼に、バーチャルロマンスにまつわる不思議と難しさについて話したと思います。人がどれくらいアバターと同化して、どれだけ真剣に他のアバターに恋することができるかということについてです。」とVosは思い出す。「それがDavidの琴線に触れたのだと思います。なぜなら、私達がSLの中で撮影をしている時、それが彼がずっと捜し求めていたものだったからです:観客にアバターへ感情移入させるようなシーン-それは同時に、きわめて抽象的ななりゆきについて、思い巡らすことになります。『私達はアバターに心を動かされているのか、それともアバターの後ろにいる人物に心を動かされているのか?』と。」Vosは、映画の15-20%がSLの中で撮影されたと推測する。「しかし(それらのシーンは)重要です--主人公達の関係は、リアルライフよりもセカンドライフの中で発展していくのです。」
Verbeekはプロダクションノートに次のように記している:
JitzeとMin Minは非常に違っているので、リアルライフで世界を共有することはありません。しかし、バーチャルワールドでならそれが可能です。彼らに沢山の違いがあるにもかかわらず、共通しているのは、気持ちを解き放つことであり、人生の束縛から解放されることなのです。リアルワールドでは出来ないことが、セカンドライフの中でなら出来ます。バーチャルリアリティーは、彼らの経験を豊かにします。それが想像の世界であっても。
RU Thereが映画上映/放送/DVD化されるという発表は、まだされていないが、カンヌが配給会社にとって最も重要 な国際市場であることを考えれば、何らかの形で広くリリースされる機会を得る可能性は高い。(アメリカでは、カンヌはSundance film festivalと同じくらい、極めて重要な世界的な舞台である--不思議なことに、セカンドライフのドキュメンタリーが前回のSundanceでフューチャーされた。)とにかく、Vosは私にこう言った。「オランダの配給会社が、SLの中で上映することを考えていました。」
RU Thereがセカンドライフの中のどこで上映されるかは、まだ決まっていない。「CannesというSIMがSLの中にあるのを見つけたので、」Sander Vosは、こうつぶやく。「そこで、できたらいいんじゃないかなと思っています。」
Image credits: IDTV Film, VPRO, Les Petites Lumières. Sander Vos photo courtesy of him.
2007年4月より、SLウロウロユーザー。オーストラリア在住。音楽イベントによく出没します。悩みの種は微妙な時差でイべント中に眠くなること。
日本のSLで起きている面白いこと、ニューワールドノートに紹介したいことがあったら教えてください。
「りすが行くわよ」http://ameblo.jp/sannyy/
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