これは、私が今まで目にしてきたSecond Lifeを現実のアプリケーションとして利用している実例の中でも、最も優れたものの一つだと思う:Wisconsin州のMadisonで、建築家のチームが、リタイアメントホームの新しいデザインの3Dプレビューをフォーカスグループの住人に提案し、彼らのフィードバックを活かしながら最終プランを固めるという工程に、SLを利用した。:ご覧ください。
このプロジェクトのSL部分は、SLをデザインツールとして数年に渡り利用しているWisconsin州の建築家、Jon Brouchoudによって進められている。基本的なデザインをSLにインポートし、SLシュミレーションを見ている住人達の反応を元に、他の要素を大胆に加えていく。このフィードバックにより、建築家達はプラン全体も変更することとなった。
「私達の考えは、アウトドアスペースや、庭、スクリーンドポーチを出入り口環境の一部とすることでした。しかし、住人達にはまったく不評でした。」とJonは言う。「また、新しい建物には、もっとフォーマルな受付のデスクを置くのが当然だと思っていましたが、住人達は、もっとソフトで、環境に溶け込むような家具のほうを好みました。」
この例を見れば、似た様なフォーカスグループのセッションで、他の建築家達が、どのようにSecond Lifeを利用できるかイメージできるだろう。そして色々な点から、他のプラットフォームよりもSLは優れている。(例えば、縮尺模型や、アバターや大胆な変化を見せることが出来ない静止3Dモデルなどより優れている)SLをフォーカスグループ用の試作ツールとして使うことに対し、Jonのアドバイスは次の通りだ:
「他の建築家の皆さんにも、絶対にお勧めです。」「ただし、アイデアを空に描くという原始的なモデリングツールであるSLを上手く使いこなせるだけの技術が必要です。そして、詳細を決めることよりも、アイデアのコンセプトを大まかに描く為に使うことをお勧めします。簡易化という面では、これは本当に役立ちます。デザイン初期の白紙状態からスタートする時に、この技術を使うことで、何にも縛られず、アイデアを柔軟に変えることができます。」
さらなるアドバイス:「空間デザインを早めに決めたい衝動を抑えましょう。シンプルな図式「ヴィネット(Vignettes)」から始めると、ディスカッションに大きな変化を及ぼすことができるでしょう。時間をかけすぎてはいけません。でも、ディスカッションが一区切りついたり自然と収束したところで、ラフ案を共有し、グループの意見を元に、細かい点を付けたし改善していくことは良い考えだと思います。この工程により、模型を作る時間を短縮できますし、グループの人達は、あなたが詳細モデルを作っている間、待っている必要もありません。例えば、その場所が、ドアになるか、窓になるか、床の素材の違いなど分かっていれば、それらの部品を用意しておいて、タイミングに合わせて、それを出します。同様に、数種類の異なった素材とペイントカラーを用意しておいて試してみます。最終的に、グループが言っている通りのものが出来ないかもしれません。でも、あらかじめ用意しておいた何種類かのオプションを試してみることと、彼らの反応を注意深く聞くことで、そのグループの好みを素早く掴むことが出来ます。」
現実世界の施工は、まだ始まっていない。おそらく来年か2013年になるだろう。このプロジェクトについて、ここでもっと詳しく読むことが出来る。皮肉にも、Jonが私にこのプロジェクトについて教えてくれた時、私はちょうどHeath Brothersが書いた、なぜSecond Lifeは成長に失敗したかという、多くの議論がなされているわりに、はっきりしないアセスメントを読んだばかりだった。HeathはSLがマスマーケットに受け入れられなかったのは、現実世界で何の役にも立たないからだと言っている。Madisonに住むリタイアメントホームの住人達は、その意見に同意しないはずだ。
2007年4月より、SLウロウロユーザー。オーストラリア在住。音楽イベントによく出没します。悩みの種は微妙な時差でイべント中に眠くなること。
日本のSLで起きている面白いこと、ニューワールドノートに紹介したいことがあったら教えてください。
「りすが行くわよ」http://ameblo.jp/sannyy/
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