Sanny Yoshikawa が、New World Notesのなかから、毎月おすすめのバーチャルワールドニュースを日本語で紹介します。
Sanny Yoshikawa covers the monthly virtual world highlights from New World Notes for virtual Japan.
Second Lifeに嵐を呼び、雪を降らす方法
The Really Useful Scripts Corner(NWNメディアパートナー)のThe Mega Weather Makerは、Second Lifeの土地で様々な天候を体験できる便利な装置です。吹雪や雨のほか、オーロラや桜の花びらが舞うモードもあります。SIMの侵入者に向けて稲妻を打つことも可能です。さらに、果物や、犬と猫が降ってくる面白モードもあります。なぜ「犬と猫」が一緒に降ってくるのか不思議に思いますか? これは英語で土砂降りを表現するときに "it's raining cats and dogs" と言うところから来ているようです。
The Mega Weather Makerには、パーティクルの雨が屋根を通り抜けて部屋に入らないようにするスクリプト入りの屋根 Really Useful Rain Resistant Roof が同梱されています。現在使っている屋根に、このスクリプトを貼り付けることでも雨漏りを防ぐことができます。
The Mega Weather Makerのデモは、ここで体験できます(SLURL)。
詳しくは…
How To Summon Storms & Other Amazing Weather On Your SL Land
見て聞いて! MinecraftにHigh Fidelityの3D 空間オーディオを統合してみた
イヤホンをつけて動画を見て、High Fidelityの3DオーディオAPIを使ったMinecraftの世界を体験してください。同じMinecraftサーバーにいる周囲のプレイヤーと会話できるだけでなく、バーチャルワールドそのものを没入型オーディオで体験することができます。クリーパーが背後でうなっているときは、実際に背後にいるように聞こえ、川沿いを歩いているときは、コンピュータのすぐそばに川があるかのように聞こえます。
このMinecraft Modの詳細は、Sabrina ShanmanさんによってHigh Fidelityのブログで紹介されています。統合のためには特別なセットアップが必要ですが、すでにMinecraftサーバーを所有している人であれば簡単にできるはずです。
詳しくは…
Watch, Listen: Minecraft Integrated With High Fidelity 3D Spatial Audio
新規ユーザー不足? Second Life公式WEBサイトのトラフィックは2018年に比べて50%減少している
Linden Labは、ステイホーム中にSecond Lifeが盛り上がっていると報告していましたが、新規ユーザーがアカウント登録をするSecondlife.comのトラフィックを見ると少し異なる光景が見えてくるようです。データ分析プラットフォーム SimilarWeb の統計を元にWagnerが解説します。
- 今年2月のSecondlife.comの訪問数は940万。それより前の5ヶ月間では、2020年12月の1,270万がピーク。ほかの月は平均1,100万以上の訪問数を記録しています。
- 2018年12月の月間訪問数は約2,100万あり、その前の5ヵ月間も同様の訪問数を稼いでいました。
- もっと前のデータと比較すると、2014年のSecondlife.comの月間平均訪問数は1,600万台でした。
スマートフォンやゲームコンソールに対応していないSecond Lifeでは、アカウント管理やショッピングなど様々な活動が今でも Secondlife.comという公式WEBサイトを通して行われています。新規アカウントの登録も例外ではありません。そのため、公式WEBサイトの訪問数は、新規ユーザーを含め全体のユーザーアクティビティを知るために役立ちます。
公式WEBサイトの訪問数が少ないことは、必ずしもインワールドでのユーザー活動が減少していることを意味するものではありません。しかし良い傾向ではなく、新規ユーザーが減少していると思われます。Linden Labは新規ユーザーの体験を向上させるための施策を考えたほうがよさそうです。
詳しくは…
ゴールドラッシュが終わったあと、NFTアートはどうなるのだろうか?
現実の芸術作品は、自分や友人、家族が楽しめるよう家に飾ることができます。高価な作品であれば、無料または有料でギャラリーや美術館に貸し出して一般の人に公開することで、人に喜んでもらえ嬉しくなるでしょう。アート作品が特別なのは、それが一点ものであり、人々がそれを楽しむために特定の場所に行かなければならないからです。しかし、NFTアートは、インターネット上でコピーされているほかの画像と同じように、ただのコピーされたデジタル画像です。時が経つにつれて、所有者にとって何が特別に感じられるのでしょうか?
NFTアートの市場が急落したのは、この疑問に答えがないせいかもしれません。それに、NFTを共同開発した技術者のAnil Dashさんでさえ、アートに興味がない投機家によって市場が圧倒されているとエッセイのなかで述べています。そしてAnilさんは、NFTがアーティストにとって適切なものであり続けるかどうか分からないとも言います。
しかし、仮想媒体に適したNFTアートには、持続可能な市場があるかもしれません。Deep Dreamのアルゴリズムを絵筆に見立てて作品を制作する黒人アーティストのNettrice Gaskins博士はこう語ります。「今のところ、NFTのプロセスは私にとって有益なものです。報酬を得られることはもちろん、NFTが再販された場合にはロイヤリティーまでもらえるのですから。」
有色人種、LGBTQ、女性、障がい者などであることで、オフィシャルな市場から締め出されてきたアーティストにとって、NFTは、生計を立てたり収入を補ったりするために役立つ可能性があると博士はエッセイに書いています。
Gaskins博士にとってNFTに参入することは、現金を得ることよりも新しい聴衆を得られることのメリットが大きいそうです。投機家のほか、ソーシャルメディアに投稿された作品を見て魅了された人たちが彼女のファンになりました。現在、Gaskins博士の元には講演やワークショップの依頼が何件も寄せられています。そして、もうすぐスミソニアン博物館に作品が展示される予定です。
詳しくは…
Where Can NFT Art Go Now That The Gold Rush Is Gone?
マルチプレイヤーモードのBeat Saber は、ジェスチャーを使ったソーシャルVRコミュニティに進化した
Second Life創設メンバーのFlipperPAさんが、マルチプレイヤーモードのBeat Saberについて良い分析をしています。Beat Saberは、小さな町だった頃のSecond Lifeを思い出させる、助け合いのあるソーシャルVRコミュニティに進化したようです。ただしこの世界では、テキストではなく実際のジェスチャーを介した社会化が進んでいます。以下は、FlipperPAさんのブログからの引用です。
完全な偶然かもしれませんが、彼らは私が今まで参加した中で最も友好的なオンラインコミュニティを作っているように感じます。
-
- すべてのプレイヤーはアバターを作成し、名前をつけることができます
- プレイヤーは手を使ったジェスチャーができ、そこにいる人たちの頭の動きも見ることができます
- ボイスチャットはありません
- チャットウィンドウもありません
そのため、ジェスチャーによる意思疎通が豊かに進化しているようです。新しいプレイヤーがゲームに参加すると、ほかのプレイヤーは熱心に手を振って挨拶します。ゲームで勝った人には拍手をし、勝者はナマステのジェスチャーでおじぎをするのをよく見かけます。さよならのときにも手を振りますし、曲の合間には新しく入ってきた人に再生したい曲を選択するようジェスチャーで促します。すばらしくフレンドリーで温かい世界があるようです。Beat Saberは、ゲーム内でコミュニケーションをとるための素晴らしい方法を偶然発見したのでしょうか?
FlipperPAさんは、Steamの統計データから判断してBeat Saberのマルチプレイヤーモードの常連が約1,000人いると推測しています。そして次のように話を続けます。「小さなインディーズ・スタジオが開発したゲーム(Beat Saber)や、SLにあったIndigo Crew※ からの古い友人であるAnton Handが個人で開発したゲーム(Hot Dogs, Horseshoes and Hand Grenades)が、Half-Life: Alyx や Skyrim VRのような、メジャーなゲームスタジオで開発されたゲームと競い合っているのは興味深いことです。」
長期的な成功のためには、そこに、どのようなコミュニティができるかが大きく影響するのでしょう。
※ Indigo Crewは、Second Lifeの歴史上、オークションによって初めてSIMを所有したグループです。
詳しくは…
Multiplayer Beat Saber Becomes Gesture-Based Social VR Community
Second LifeをC#言語で動かす:かつてLinden Labのロードマップにあった忘れられた機能
VRChatでは、ユーザーがC#言語を内部のスクリプト言語(Udon)に変換するシステムを開発したそうです。その話からWagnerはある人物を思い出しました。Linden Labの元社員で、C#言語を使ったスクリプト作成を目指していたJim "Babbage" Purbrickさんです。残念ながらJimさんの目標は実現せず、彼は2010年にLindenを去りました。Jimさんが遺したデモを見てください。プログラムに興味がある方なら、その良さが分かるでしょう。11年前に障壁となっていた問題は、今なら技術的に可能かもしれないとJimさんは言います。
ほかの障壁は何でしょうか? Wagnerは、2010年以降のLinden Labの社員の入れ替わりを考えると、このプロジェクトが棚の上に残っていることを覚えている人がいないのではないかと考えます。もしくは、この問題を優先できるほど会社の力がないのかもしれません。
詳しくは…
メタバース戦争のはじまり: EpicがUnrealメタバースを構築するために10億ドルの資金を調達
昔のブラウザ戦争を覚えていますか? ウェブブラウザを提供する大企業が繰り返してきたシェア争奪戦です。バーチャルワールドにも同じようなことが起こっています。メタバース戦争へようこそ。
今月、ソニー・グループがEpicGamesへ2億ドル(220億円)の戦略的追加投資をしたことが話題となりました。投資会社の米KKRなど計12社からも出資を受け、合計で10億ドル(約1090億円)の資金を調達したことになります。Epic GamesのCEOで創設者であるTim Sweeneyは次のような声明を出しました。「Epicとメタバースに対する当社のビジョンを支持してくださる、新規および既存投資家のみなさまに感謝しています。この資金はFortnite、Rocket League、Fall Guysにおける、コネクテッド・ソーシャル・エクスペリエンスの構築に向けた当社の活動を加速させると共に、Unreal Engine、Epic Online Services、Epic Games Storeを通じ、ゲーム開発者やクリエイターに力を与えることになります。」
メタバースに対するEpicのビジョンは、もちろん独自の3DエンジンであるUnrealに基づいています。また、このニュースが発表されたのはUnityエンジンで構築されたROBLOXが大規模なIPOを成功させてからわずか1ヶ月後です。このような発表は、メタバースの市場支配を勝ち取る戦いの一撃であり、これから数か月のうちに多くの発表が行われることは確実でしょう。しかし、メタバースのコンセプトは依然としてニッチなものであり、一般消費者向けには明確に定義されていません。例えば、最近行われたジャーナリストのDean TakahashiによるSweenyへのインタビューでもそれが分かります。インタビューで、メタバースの成長に影響を与えるキラーアトラクションが何かと問われ、Sweenyは「友人と一緒に外に出て散歩するような素晴らしい社会体験をすること」だと答えました。それは、ソファに座って話すだけよりも楽しいと言っています。
実際のところ、ソファでおしゃべりをするのではなく、メタバースでソーシャルな体験をしたいと思う人がどれくらいいるのか分かりません。ソーシャルな体験ならば、今のようにYouTube動画を見たり、メタバースではないマルチプレイヤーゲームをプレイしたり、ストリーミングされているドラマをイッキ見しながらのほうが良いのではないでしょうか。
しかし、これはメタバース戦争の次の段階を示唆しているのかもしれません。メインストリームのオーディエンスに向けて、なぜメタバースを必要とするのかを定義する競争です。
詳しくは…
日本人VTuber 三珠さくまるさんのVRジャグリング
VTuberの三珠さくまるさん(VRCでは390_JUGGLER)が公開したVRジャグリング映像は、海外VR勢の間でも話題になったようです。NWNのWagnerがさくまるさんから話を聞きました。
さくまるさんのVRジャグリングは、VRChatやUnityで開発されています。現実世界でジャグリングしている様子をモーションキャプチャで記録しバーチャル空間に反映したもののほか、バーチャル空間の中でモーショントラッキングを使ってバーチャルオブジェクトを動かしているものもあります。この場合、さくまるさんが動かしているオブジェクトはバーチャル空間の中にしか存在していません。Twitterには、次のようなツイートもありました。「重さと指の感覚がないのがかなり厳しくて普通の重力でやると普通の3倍くらいむずかしいです!(現実から習得した人は)」
VRパフォーマンスの世界が、今後どのようになっていくのか楽しみです。
詳しくは…
Watch: Juggling VRChat-Based Objects From Real Life Via Motion Tracking!
VRChatが、マネタイズ、アバターの同士のダイナミクス強化など、多数のアップグレードを発表
VRChatの開発者たちが、今後の予定や実験的なものなど、とんでもなく膨大な数の発表をTwitchで行いました。VRChatユーザーのAdeonさんによるレポートを元にその内容が紹介されています。
おそらくユーザーを最も興奮させたのは、アバター同士が 「物理的 」に相互作用したり、お互いの体を操作したりすることができる「アバター・トゥー・アバター・ダイナミクス」の発表でしょう。下の動画をご覧ください。例えば、友だちのアバターの顔に触れると、触れた部分が動きます。また、今年の夏にはユーザーのマネタイズオプション、そして最終的には完全なクリエイター・エコノミーの実現が予定されています。
クロスプラットフォームの観点から最も興味深いのは、ウェブカムやモバイルデバイスを介して体や顔の動きを追跡する機能でしょう。これはまだ実験段階ですが、VRChatを使って動画を撮影しているYouTuberに便利そうです。VRChatのモバイルアプリが近日中に登場する可能性も明確にされました。そして英国と日本にVRChatのサーバーを設置するというニュースも。
ユーザー数ではRec Roomのほうが優勢であるものの、VRChatは創造的なコミュニティのエコシステムがあることや、ここで紹介したように公式機能の幅広さがある点で、現在のソーシャルVRプラットフォームをリードしているように思えるとWagnerはコメントしています。
詳しくは…
Second Life が人間のモデルを起用した奇妙な新公式WEBサイトを公開し、的外れなマーケティングを展開中
Second Lifeは、3Dグラフィックスを使ったオンラインのバーチャルワールドですが、新しい公式WEBサイトのメインビジュアルには、なぜかアバターではなく人間のモデルが登場しています。なにかの冗談でしょうか? この空飛ぶ妖精は、Linden Labが昨年末に予告編を公開した、人間のモデルがアバターのふりをして多数登場するプロモーション映像から派生しています(You Tubeリンク)。
「Second Lifeに登録すれば、空飛ぶ妖精になれます...。ここで見ているのは人間のモデルで3Dグラフィックではありませんから、こうはなりません。でも、心のなかはこんな感じです。」というメッセージなのかもしれません。
そしてトップページにはこのような紹介文が入っています。「音楽クラブ、ロールプレイコミュニティ、バーチャルシネマ他、様々なバーチャル体験とコミュニティに溢れ、出会う人、探検する場所がなくなってしまうことは決してありません。セカンドライフはいつも素晴らしく、時折風変わりで、100% 価値のある仮想世界をお届けします。」
この露骨なメッセージは、Second Lifeやバーチャルワールドについて何の知識もないマーケティング会社から発せられたもののようにも感じられます。なぜなら、ここに書かれていることは間違いではありませんが、ほかのバーチャルワールド(IMVUやVRChatなど)にも共通することです。しかもこれらのバーチャルワールドには、もっと活発なユーザーベースがあり、モバイル版もあり、Second Lifeよりはるかにアクセスしやすいのです。それよりも次のようなSecond Lifeのユニークで差別化された特徴を出したほうがよいのではないでしょうか。
- プリムベースのコンテンツをコラボレーションしながら作成できる
- 探索できる土地が最大級に広く、毎月何百もの新しい場所を探検できる
- 競合するバーチャルワールドの中で最も優れたレベニューシェア(収益分配)契約を持つ、最大級のユーザー主導型経済がある(例えば、ROBLOXでは会社がクリエイターと50/50で収益を分けますが、SLでは売上の大部分がクリエイターのものになります。)
そして、WEBサイトに使われている画像を見ても、文字通り1万人以上のSecond Lifeユーザーのほうが、はるかに魅力的なイメージを作り出すことができます。今の公式WEBサイトは、バーチャルワールドのことを何も知らない巨大な持ち株会社に所有された製品ページのようです。これでは活発で創造的なユーザーコミュニティが見えなくなってしまいます。
詳しくは…
マンガのイメージに巧みに変換されたSecond Lifeのスクリーンショット
FlickrのSLスクリーンショット紹介はCajsaの役目なのですが、とても気に入ってしまったので...と前置きをして、WagnerがCadwyn Daffydさんのスクリーンショットを紹介しています。まるでマンガの一コマのように加工されたスクリーンショットがとても個性的です。
どうやって編集しているのかという質問に「細かいことは言えませんが、PhotoshopとGimpでちょっと編集しているだけです。」とCadwynさんは答えたようです。でも、絶対それ以上に見えます。記事のなかにある、ほかの作品もご覧ください。
詳しくは…
Second Life Screenshots Cleverly Converted Into Manga Comic Images
マイルストーン:VRChatの同時接続ユーザー数 の ピーク値がSecondLifeを超え始めた
ソーシャルVR・バーチャルワールドのVRChatが、Second Lifeの同時接続ユーザー数を、おそらく初めて超えました。40,540人がSLにログインしているときに、VRChatでは42,513人のオンラインユーザーを記録したのです。このニュースは、VRChatとSecond LifeのCCU数をかなり前から追跡している、長年のバーチャルワールド探検家Adeon Writerさんによって寄せられました。
Adeonさんによると、SLのCCU数(同時接続ユーザー数)を上回ったときのVRChatでは、ユーザーのログイン数を増加させるような特別なイベントはなく、VRCの日々の成長がこの結果を生んだと思われます。今までVRCのオンライン数がSLのオンライン数を上回ったことは一度もありませんでした。
Wagnerにとっても、この結果は興味深いものだったようです。長い間、つまり15年以上にわたって、Second Lifeは毎日のピーク時のCCUレートが4万人以上で、2007年から2008年頃の流行時には、その数は8万人に近づいていました。そしてやっと今、はるかに若いバーチャルワールド(VRChatは2017年に立ち上げられた)が同程度の利用者数になってきたのです。
今回の結果はVRChatのCCU数が常にSLよりも高いということではありません。Second Lifeは非常に安定したペースで4万以上のCCU数を記録しています。ですから長年のSLユーザーにとっては、もっと気になるポイントがあるかもしれません。Second LifeのCCU数は再び成長するでしょうか?
Milestone: VRChat Peak Concurrent User Numbers Start Surpassing Second Life's
Second LifeのスクリーンショットをNFTアートとして販売できる?
NFTアートのバブルが続いている中、Second Lifeコミュニティフォーラムのなかに当然ながらこの質問が出てきました。「Second Lifeのなかで撮影したスクリーンショットをNFTとして販売することは可能なのか?」簡単な答えは「YES」ですが、実際の答えはもっと複雑です。というのも、Linden Labは、ユーザーがSecond Lifeのプラットフォーム上で作ったものに対する所有権の保持を認めているからです。そのため、ゲーム会社、書籍出版社、テレビネットワーク、映画スタジオ、さらにはファッションブランドまでも、SLで作られたコンテンツを使って利益を得てきました。リンデンラボ社の観点からは、これらはすべて許容されていることになります。
しかし、SLユーザーがバーチャルワールドで作ったものに対する知的財産権を保持しているという事実そのものが、多くの「グレーな興味深い謎」をもたらしているのです。これは、Electric Frontier Foundationのスタッフ弁護士だった頃のFred von Lohmannの言葉です。
「グレーな興味深い謎」の例として、現実の世界では、歩道のテクスチャが著作権で保護されていることを気にせずに道を歩けます。SLではどうでしょうか? SLから抽出したスクリーンショットやマシニマを公開している人は、その辺を考慮しなければなりません。Second Lifeのストリートの写真を掲載することは、ニューヨークのストリートの写真を撮影するときと同様に、写真に写っているアイテムのクリエイター全員から許可を得る必要はないという主張があります。しかし、この仮定はまだ法廷で検証されていません。
Fredさんは2009年当時、Second Lifeでプロがマシニマを撮影する際の法的問題について話していましたが、基本的な原理はNFTにも当てはまります。Second Life のスクリーンショットを作成した場合、リンデンラボはそれをNFTとしても販売する権利を与えています。ただし、そのスクリーンショットにほかのユーザーが作成したSLコンテンツが写っている場合、厳密にはそのユーザーの許可を得る必要があります。
例えば、ファッションモデルがバーチャルワールド内の道路を歩いている、SLのスクリーンショットを考えてみましょう。NFTとして販売する前に、厳密にはアバターの著作権を所有しているユーザーの許可を得なければなりません。ファッションアクセサリーやアバターのテクスチャ、アバターモデルのポーズを作ったクリエイター...そして道路標識、建物、街並みなど、背景に描かれているすべてのコンテンツのクリエーターからも許可を得なければなりません。
では、これらの許可を得ずに、NFTとして販売した場合はどうなるのでしょうか? おそらく、NFTが利益を生まない限り、何も起こらないはずです。このようなケースは大抵、権利者とその弁護士に呼ばれて始まります。Second Lifeのトップコンテンツ制作者が6桁、7桁の売上を上げていることを考えれば、彼らが来ることは間違いないでしょう。
信じられませんか? まずはSecond Lifeで有名なBunny v. Horsie事件(※)について考えてみてください。
※Bunny v. Horsie事件とは、Second Lifeのなかでウサギを繁殖させることができるシステムを開発したOzimals Incが、馬を繁殖させることができる類似システムを発表したAmaretto Ranch Breedables, LLC に対し著作権侵害訴訟を起こした事例のこと。
画像は、デジタルアーティストのNettrice Gaskins博士のアバター。博士は時々Second Lifeのなかで、NFTにも出品されているニューラルネットワークアートを披露することがあります。
来月のおすすめバーチャルワールドニュースもお楽しみに!
Snap Shot Location: Cyberpunk Neo Tokyo Japan (A)
Comments