Sanny Yoshikawa が、New World Notesのなかから、毎月おすすめのバーチャルワールドニュースを日本語で紹介します
Sanny Yoshikawa covers the monthly virtual world highlights from New World Notes for virtual Japan.
リアルなアバターがバーチャルワールドに現実の偏見を持ち込む
"Virtual body-shaming: Why the metaverse won't fix our IRL beauty standards"(バーチャルボディシェイミング:なぜメタバースは現実の美の基準を変えられないのか)というタイトルのCNNの興味深い記事は、2017年のNew World Notesを部分的に参考にして書かれています。体形について意見を言ったりバカにしたりする、ボディシェイミングがバーチャルワールドでも起きているという内容の記事では、太ったアバターを貶めるSecond Lifeのファッションブランドに抗議するアバターのことが取り上げられました。
Wagnerは、記者のOscar Hollandさんに、SLにボディシェイミングが持ち込まれた原因は、メッシュアバターの拡張機能が登場し、リアルな人間の外見が重視されるようになったことにあると語っています。人間のアバターがリアルになればなるほど、外見に関するオフラインでの偏見が持ち込まれるのです。
それまでは、アバターの多様性に寛容でした…。しかし、非常にリアルで美しいアバターが重視されるようになってから、現実世界からバーチャルワールドに持ち込まれる偏見が増幅されてしまったのです。アバターが「標準外」のユーザーにとっては、嫌がらせは今でも「しょっちゅう」起きていると、Auは付け加えています。「体が大きなアバターを持っている人は、少なくとも数回は嫌なコメントを受けることになるでしょう。」
これは、研究者の Nick Yeeさんが最初に観察し、名付けた「プロテウス効果」の裏返しです。アバターが魅力的であればあるほど、アバターの持ち主はより自信を持つようになります。しかし、同じ意味で、その魅力的なアバターがリアルであればあるほど、私たちの現実世界での偏見がバーチャルワールドにも持ち込まれることになるのです。
以下、NWNに掲載された2017年の記事の抜粋を紹介します。
そのアンチファットのメッセージは、同ブランドのSLベースの店舗にも反映されており、細い女性アバター向けの商品を展示するショールームの中央の台座に「No Fat Chicks」の看板が置かれています(当然のことながら、ブランド名は明かしません)。このアンチファットキャンペーンは、SLをテーマにした多くのソーシャルメディアチャンネルで流行し、インワールドでの抗議運動まで発展しました。
「私は、侮辱的だと思っています。」とStarr Nasworthyさんは言います。Starr さんは、Wagnerが到着する1時間以上前から、アバターの多様性のために、ショールームで抗議の看板を振っていました。 「この世界には必要のない憎しみが多すぎるのです。ここで何になりたいか、それぞれの人が自分の意見を持っています。しかし、人の体型を貶したり、太ったブタと呼ぶことは、間違っています。」
このボディシェイミングキャンペーンは、完全に大柄な女性アバターを対象としており、現実の持ち主について言及されているわけではありません。しかし、攻撃されていると感じている多くの人々にとっては、現実との区別は、あまり意味がありません。
最近、WagnerはNickさんと話をしていて、メタバース・プラットフォームが大規模に成功するためには、アバターの外見が重要であると確信しました。そして注目すべきは、最もアクティブユーザーを持つプラットフォームであるRobloxとFortniteが、それぞれ抽象的でLEGO的、あるいは漫画的なスタイルのアバターを使用していることです。
詳しくは…
I Tell CNN Why Realistic Avatars Bring Real Prejudice To The Virtual World
Premium Plus加入者は、ブラウザとモバイルでSecond Lifeを利用可能に...
Linden LabがSpeedLightと提携したことで、Premium Plus会員は、WebブラウザとモバイルデバイスからSecond Lifeにアクセスできるようになりました。
Speedlightモバイルアプリは、外出先でもSecond Lifeに接続できるため、すでに多くのコミュニティメンバーから好評を得ていますが、Premium Plus会員の皆様には、オンライン時間制限なし、優先的なオンラインサポートといったSpeedlightの追加特典をご利用いただけます。モバイルデバイス(またはWebブラウザ)で Second Lifeを楽しむことができ、好きなだけ接続を維持することができます。これらの特典を得るには、Premium PlusアカウントでSpeedLightを使用してSecond Lifeにアクセスするだけです。
Premium Plusは月額25ドルです。6月に読者アンケートを実施したところ、「Premium Plusにアップグレードして特典を受けることに興味がある」という人は、4人に1人しかいませんでした。そこにSpeedLight経由の無制限ストリーミング・オプションが加わったことで、もっと多くの人がアップグレードしそうです。
ただし、SpeedLightを気に入るかどうかは人によるかもしれません。次のような意見が寄せられています。(画像はSpeedLight ビューワのスクリーンショットです)
棒人間です。HUDは見えず、何も触ることができません。テキストを書いたり、インベントリを見ることはできます。3Dビューは最小限です。私はOnliveを使っていましたが、そちらのほうがずっと進んでいました。-- Panster Moonshadow
比較のためにOnliveの動画を紹介します。
Twitterを利用している複数の読者は、これまでのところSpeedLightの提供するものにあまり感銘を受けていないようです。WagnerはSpeedLightの現在のバージョンが意図した最終製品ではない可能性もあるため、インタビューを申し込み話を聞いてみたいとしています。
Carmack:Qust2値上げの理由は、無料のメタバースプラットフォームであるVRChatとRec RoomがQuestのプレミアムゲームよりも人気があるため
Meta Quest 2の小売価格が引き上げられました。Connect 2022のキーノートで、QuestのシニアアドバイザーJohn Carmackさんが、その理由を述べています。
基本的に、Quest 2の所有者は十分なプレミアムコンテンツを購入せず、代わりに、無料プレイのメタバースプラットフォームであるVRChatとRec Roomにヘッドセットを使用していると彼は言います。
「Quest で特に人気のあるアプリのいくつかは無料アプリで、VRChat と Rec Room からはまったく収益を得ておらず、多くの場合、ランキングの上位に位置していますが、社内ではそれを後押しする動きはあまりありません。」(動画の41分あたりからご覧ください。)
10月17日追記:Rec RoomとVRChatのアプリ内課金の30%手数料がMetaの収益になることをCarmackは後に認めました。しかし、ほとんどの無料プレイのマルチプレイヤーゲーム/ワールドの収益率は10%以下(通常はもっと低い)のため、QuestのRec Room/VRChatプレイヤーの大多数が、これらのプラットフォームを通じてMetaに何も支払っていない可能性はまだ高いです。
これは、かなり衝撃的な事実です。Meta社は、自社のメタバース・プラットフォームの市場を拡大するために、Quest 2とQuestアプリストアを開発しました。しかし、Quest 2 を所有している人たちは、Metaのメタバース・プラットフォームの主要な競合相手である VRChat と Rec Room に殺到しているのです。 (Rec Roomだけで、最近報告したように、300万人のアクティブなVRユーザーがおり、そのほとんどがQuestを使っています)。
Carmakさんは公平を期して、このような事態を完全に支持していると付け加えています。
OSMIAの最新情報:ウクライナ在住のSecond Lifeクリエイターが(比較的)安全に逃亡
SLファッションブランドOSMIAのクリエイターで、ウクライナ在住のHannaさんは、今年の3月、ロシアの占領下にある都市に潜伏していました。
地下室に避難しながら「精神的に辛い」「街は本当に危険です」とメッセージを送ってきていたHannaさん。彼女は当時妊娠6ヶ月を超えていました。
最近そのHannaさんから、赤ちゃんが無事に生まれ、家族でウクライナの比較的安全な場所に逃げることができ、森のそばの手入れの行き届いた家に住んでいるという嬉しい最新情報が届きました。
しかし、この安全は、以前よりは良くなったというだけです。
Wagnerがメッセージを送ったわずか数日後に、プーチンはキエフに致命的なミサイルを放ちました。ご想像の通り、メタバースで新しいコンテンツを作るには不向きな状況です。
「強制的に引っ越しをさせられ、小さな子どもとペットを抱えて戦争モードで制作するのはとても難しい 」と、HannaさんはSNSに書き込みをしています。「もうすぐいつものリズムに戻るから、見捨てないでね!」とも。
多くのファンが彼女を見失うことはないでしょう。OSMIAのセクシーでグラマラスなアバターグッズの数々をお求めの方、あるいは、Hannaさんを応援するために買い物をしたい方は、こちらのSL Marketplaceストアをご利用ください。
詳しくは…
OSMIA Update: Ukraine-Based Second Life Creator Escapes To (Relative) Safety
Linden labからスピンオフした決済サービス企業「Tilia」が金融大手JPモルガンから戦略的投資を受ける
もし、Second Lifeが、将来のメタバース・プラットフォームのための支払いプロセッサを作ったと、ビジネス界の歴史に残るとしたらどう思いますか?それが現実のものとなるかもしれません。
オールインワンの決済プラットフォームであるTiliaは、本日、J.P. Morgan Paymentsから戦略的投資を受けたことを発表します。Tiliaのソリューションは、ゲーム、バーチャルワールド、モバイルアプリケーションの開発者向けに構築されており、決済処理、ゲーム内取引、クリエイターへの支払いを、バーチャルワールド内のトークンから米ドルなどの不換通貨に変換して処理するものです。これは、バーチャル経済が機能する上でのバックボーンとして機能します...。
Tiliaのバーチャル決済システムは、ゲーム内トークンや通貨を簡単かつ安全に不換紙幣に変換します。 Second Lifeとそのクリエイターベースの経済を強化するために一から構築されたTiliaは、そのユニークな機能を構築するために何年もかけて開発されました。Tiliaは、支払いをサポートするために必要な米国での送金ライセンスを確保し、大規模で安全な取引を可能にしています。
J.P.モルガンのような金融大手は、この先、より大きな市場、つまりLinden Labよりも国際決済や仮想通貨を扱った経験の少ない、急成長中のメタバースプラットフォームにアクセスすることを想定して、このような戦略的投資を行います。
一方、Tiliaは2019年から独立した企業です。ただし、消費者向けの主要なクライアントとしては、Second Lifeとあまり知られていないメタバースプラットフォームであるUplandでしか使われていません(2022年初頭にUnityと提携したにもかかわらず)。 しかし、JPモルガンがバッカーになったことから、ほかのクライアントもすぐに現れることでしょう。
詳しくは…
Linden Lab Payment Spinoff Tilia Gets Strategic Investment From Finance Giant J.P. Morgan
VRChatで実施されている全身を使ったグループワークアウトセッション
このTwitter動画では、手足を動かすために、全身にVRの装置をつけた何十人ものファーリーが、リアルタイムで一緒に運動している様子を見ることができます。もちろん、足も動きます。
my litmus test for "is your VR metaverse app even remotely as good as vrchat" is "are furries holding actual exercise classes in it" pic.twitter.com/Pd2mFPbr0k
— Aura🥨🥨🥨 (@MOOMANiBE) October 11, 2022
VR Fitness & Bikingの主催者は「この部屋では『スーパーサタデーセッション』のために、世界中で平均約30人のユーザーが参加しています」と説明してくれました。
「VRChatプラットフォームの中の、腰、手、脚の様々なボディトラッキングを使えるワールドで運動しているので、動きを見ることができるんです!」
コミュニティのTwitchでセッションの全貌を見ることができますが、集団で息を切らしているところを見ると、参加者が現実でも実際にトレーニングしていると分かります。そしてこれは、VRChatとは関係なく、ユーザーのなかで始まった活動です。
この記事が紹介されたあと、VR Fitness & Bikingの創設者Aigeyさんが、このVRChatのワークアウトグループが、COVID-19パンデミックのピークだった2020年の10月に設立され、現実のジムの代わりに利用されてきたという背景を教えてくれました。地元のジムに通えなくなった人たちがVRChatに集まり、運動をするようになったのです。それ以来、現実でジムに行くよりもアクセスが容易であることや、「なりたい自分のまま」運動できることなどから人気を獲得、グループの宣伝をしなくても参加者が集まってくるそうです。
動画:ピアニストとビデオアーティストがメタバースでリアルタイムに即興演奏
SLで活躍するTia Rungrayさん(現実では日本人ミュージシャンのTakayuki Noamiさん)の取材をしたWagnerは、とても魅力的な取材ができたと喜んでいます。そして、この動画が、今まで見た中でも革新的で野心的なメタバースベースの音楽パフォーマンスであると語ります。
この動画でTia さんは、ピアノの生演奏で、催眠効果がありそうなアンビエントミュージックを披露しています。それだけではありません。彼の演奏に合わせて、コラボレーターのHebeerryke Caravanさんが、ビデオ画像をバーチャルワールドにある空間にリアルタイム投影しているのです...。
「この映像は、Hebeerryke Caravanさんが撮影したビデオクリップやフッテージショットなどをもとに、彼がVJソフトを使ってリアルタイムエフェクトをかけながら投影しています。」とTiaさんは説明します。
二人は事前にタイトルやコンセプト、パフォーマンスの大まかな方向性を共有し、ライブではお互いに即興でパフォーマンスをしています。
「完璧なタイミングで完璧に見せることが目的ではなく、その時、その瞬間にしか生まれない "はかなさ "を楽しんでもらいたいんです」。それを辿っていくと、『ゴーストマーチ』というテーマやコンセプトに行き着きます。 (『ゴーストマーチ』は最新アルバムの名前でもあります)」
ライブを観たNew World Notesの日本特派員Sanny Yoshikawaは、とても素晴らしかったと言っていました。「アートと音楽はとても美しいものでした。会場にはドレスアップをした人たちが集まって、非現実的なファンタジー・パーティーのようでした。」
今後の公演情報は、TwitterでRungrayさんをフォローしてください。そして、バーチャルの砂漠で行われた彼の前回の公演をこちらのリンクからご覧ください。
詳しくは…
WATCH: Pianist & Video Artist Hypnotically Improvise Together In Real Time In The Metaverse
メタバースプラットフォームのインフォグラフィック:月間利用者数5億人突破!
これは、長年のバーチャルワールドアナリストであるNic Mithamさんが2022年第4四半期に更新したメタバース・ユニバースチャートの主要部分です。(NicさんのアナリストファームMetaversedに完全バージョンがあります)2022年第1四半期のグラフについてブログに書いたとき、月間アクティブユーザー数は(公開データに基づき)5億人弱でした。現在、古典的なスノークラッシュの定義にほぼ合致するメタバースプラットフォームを数えると、月間アクティブユーザー数は5億500万人を超えています。その中には以下のようなものがあります。
MAU=月間アクティブユーザー数
Roblox (2億200万MAU)
Minecraft (1億7400万MAU)
Fortnite (8100万MAU)
Zepeto (2200万MAU)
Avakin Life (1100万MAU)
Rec Room (700万 MAU)
IMVU (700万 MAU)
VRChat (450万 MAU)
AltSpace VR (100万MAU)
Second Life (100万MAU)
そして、ここで挙げられているのは、目立ったリーダープラットフォームばかりです。メタバースに隣接している多くのプラットフォームが何らかの理由で含まれていません。例えば、地球の10人に1人が楽しんでいるといわれる Garena Free Fire は入っていません。
詳しくは…
Metaverse Platforms Infographic: Now Well Over Half A Billion Monthly Users!
動画:VRChatで撮影された戦闘シーンが印象的なマシニマ、一人の俳優が全てのファイターを演じている
8月に予告があったように、VRChatで撮影されたショートムービー「S.Y.N.C.」が公開されました。脚本、監督、編集、そして出演は「Legend50210」です。(略してLegendさんと呼びましょう)。
Legendさんは、フルボディトラッキングができる状態で、異なるアバターを装着し、それぞれの戦いの動きを記録してから、ポストプロダクションで映像を同期させています。それにもかかわらず、戦いの動きが非常に流動的で、一見フルコンタクトに見えることにWagnerは驚きました。このように映像を自然に見せることはとても大変だったようです。
特に難しかったのは、悪者が主人公をひっくり返すシーンだったそうです。このシーンは、危うく現実の家を壊してしまうところでした。Legendさんは、このシーンの撮影中にケーブルに足を引っかけて、VRヘッドセットを通す天井の吊り具を壊してしまいましたが、その価値はあったと語っています。
※原文には、フルボディトラッキングのテクニックについても語られていますので、読んでみてください。
Second Lifeのユーザークリエイターに2021年に支払われた金額は8600万ドル
Linden Labからスピンオフした決済プラットフォームのTiliaに投資するJPモルガンについての記事を書いたときに、Forbesのコラムニストで長年のメタバース専門家であるCharlie Finkさんが取り上げたポイントを見逃していました。
Tiliaは開発者にとっては実装が簡単で、顧客にとってもシンプルで便利だ。取引はすぐにできコストも安く、そのうちの何割かは開発者の懐に入る。Second Lifeでは、この小銭が昨年8600万ドルにもなった。
太字の強調は、Wagnerによるものです。Linden Labの広報担当者 Brett Linden に確認したところ、この8600万ドルというのは「2021年にクリエイターに支払われた金額 」であることが明らかになりました。そうです。Second Lifeのコンテンツクリエイターコミュニティは、昨年、彼らのバーチャルコンテンツから8600万ドルを稼いだのです。
これは少なくとも2つの理由で注目されます。
Linden Labの元CEO Ebbe Altberg(RIP)は、2014年にSLクリエイターコミュニティがUS6000万ドルをキャッシュアウトしたと発表しています。つまり、Second Lifeのアクティブなユーザーベースは大きく成長していないものの、クリエイター経済はかなり成長したのです。
比較対象として、Robloxのユーザークリエイターは2020年に2億900万ドルを獲得しています。これはSecond Lifeの2倍以上の金額です。しかし、2020年のRobloxの月間アクティブユーザー数は、Second Lifeの60万人に対し、約1億7500万人います。Second Lifeは有名なメタバースプラットフォームの中ではユーザー数が少ない部類に入りますが、それでもユーザーであるクリエイターにとっては最もお得なプラットフォームであることは間違いなさそうです。
次の質問は、Linden LabがSecond Lifeからどれだけの収益を上げているかということです。近年は、ユーザーコミュニティの収入とほぼ同額でしたが、同社がサブスクリプション重視のモデルに着々とシフトしているため、おそらく変化があるでしょう。これについては、近日中に詳しくお知らせしたいと思っています。
来月のおすすめバーチャルワールドニュースもお楽しみに!
Snap Shot Location: NEO KABUTO CITY
Comments