Sanny Yoshikawa が、New World Notesのなかから、毎月おすすめのバーチャルワールドニュースを日本語で紹介します
Sanny Yoshikawa covers the monthly virtual world highlights from New World Notes for virtual Japan.
『Making A Metaverse That Matters』出版記念のReddit AMAからのハイライト
著名人になんでも質問できるRedditのイベント、Reddit AMA(Ask Me Anything)にWagnerが参加しました。そのなかでWagnerが気に入っているやり取りを紹介します。
Second Lifeとメタバースについて20年間も書くことになると思っていましたか?(bce13)
最初の数年間は、Second Lifeはとても面白いニッチなMMOだと思っていました。その後、大袈裟な宣伝の波が押し寄せてきて、あちこちから注目されるようになり--例えば、アメリカのトップ裁判官リチャード・ポズナー(Richard Posner)がSecond Lifeで講演をしたりと--本当にメタバースになるかもしれないと思うようになりました。
しかし、2010年から2018年にかけて、人々がソーシャルメディアやモバイルに移行するにつれて小康状態となり、このままニッチなものにとどまるのではないかと考え始めました。しかし、その後、Fortnite、Roblox、VRChatのような他のプラットフォームが盛り上がり始め、第二のブームが始まりました。
だから、メタバースのアイデアに対する新たな関心を目の当たりにし、今度こそ長続きしそうだと確認できたのは、とても素晴らしいことでした!
現在のAIへの関心と進歩が、メタバースにおいてどのような役割を果たすと思いますか?(franker)
ChatGPTをNPCやボットに接続して使うことや、バーチャルワールドのビジュアルを向上させるためにMidjourneyのようなプログラムを使うことが、初期段階ですがすでに見られます。
もう一つ、メタバースプラットフォームへのAIの興味深い応用は、メタバース・プラットフォームを使ってさまざまなアプリケーションを実験・テストすることです。「専門家」はAIが人類を危険にさらす可能性があると警告し続けています。もし彼らが本当にそう考えているのなら、何百万人もの人々が安全にAIに関わることができるメタバース世界で、自分たちの仮説をテストしてみるといいでしょう。また、AIは、画像の分類や3D空間のナビゲーションのようなバーチャルワールドのコンテンツで、より迅速に(そして安全に)訓練される可能性があります。
今までSecond Lifeで一番愉快で楽しかった出来事は何ですか?(cajsa)
ある男が自分の作ったUFOでSLを飛び回り、トラクタービームでランダムに人を自分の船に転送していたことです。彼は私のことも転送し、それからほかの誰か(サル)を誘拐して、アナルプローブを取り出しました。そのあと彼は第一次世界大戦の複葉飛行機をRezして、私たちもその複葉飛行機に飛び乗ったのです。サルは飛行機の翼に座り、機関銃で人を撃ち始めました。その間、私はずっと大笑いしていました。
とても初期の記憶ですが、今でも面白い思い出の一つです!
Second Lifeは最近多くのアップデートを推し進めていますが、特にEpicのような企業と競合する場合、Second Lifeを復活させ、メタバース競争に勝つチャンスがあると思いますか?(metaversensei)
そう願っています。特にモバイルアプリが(ついに)近々リリースされる予定がありますから。
しかし、Second Lifeをほとんど覚えていない新世代に向けてSLをブランドとして再スタートさせるには、間違いなく思い切った変化と大規模なマーケティング/ブランドキャンペーンが必要になるでしょう。Linden Labはそのために多額の資金を調達する必要がありそうです。
しかし、もしモバイル版が人気を得てユーザーベースが増えれば、Lindenはそれを土台にすることができるでしょう。IMVUはもっと限定的な競合ですが、モバイル版になったとたん、700万人以上のユーザーを獲得し、大きく成長しました。
やあ、ハムレット!私はSLを始めて19年になりますが、ほとんど絶え間なく「THIS WILL BE THE END OF SL!(これでSLはおしまいだ)」と思う法的/社会的ドラマ、ポリシー変更、新機能などがありました。その中でSLの運命を最も心配したのはどれですか?また、最もバカバカしく面白いと思ったことはなんですか?(JinkyRain)
そうだね!最初の「SLは滅びる!」という予言は、Linden Labがプライベートアイランドを売り始めた2004年だったと思います。
一番面白かったのは、2005年から2007年にかけて過剰な宣伝が絶頂期のときに、ValleywagというウェブサイトがSecond Lifeは死ぬと予言し続けましたが、ずっと死ななかったことです。編集者はそれに腹を立て、カルトか何かに違いないと私にメールを送ってきました!
最も心配だったのは、Second Lifeが60-70万人のハードコアユーザーを超える成長を遂げられなかったことです。これにはLinden Labも震えました。SLに関する私の章が私の著書のなかで一番長いのはそのせいですーあれほど話題になったものが、なぜ頑なに成長を拒んだのか、その謎を解こうとしているのです。
幸いなことに、Second Lifeは死ぬことも拒んでいます。
詳しくは…
Highlights From My Reddit AMA For Making A Metaverse That Matters
ファクトチェック:「MMOと3DエディターとソーシャルネットワークとTVリモコンの融合」Second Lifeの複雑なユーザーインターフェイス
SecondLifeについてAtlanticに記事を寄稿したWagnerは、記事が公開されるまでのプロセスで、厳密なファクトチェックを求められたことが楽しかったと語ります。例えば、こんな一節があります:
ユートピアのパラドックスは、Second LifeがLinden Labの社員によって開発された経緯にまで及んでいる。ローズデールと彼のCTOであるコーリー・オンドレイカの理想主義的な指揮の下、スタートアップは管理者不在の「自分で仕事を選ぶ」方針で運営され、生意気にも「リンデン道」と呼ばれた。こうして創造力を解き放たれたLindenの開発者たちは、シームレスでユーザーフレンドリーな体験を生み出すような統一的な方向性がほとんどないまま、製品に厄介な機能を無秩序に追加していった。今日に至るまで、Second Lifeのアプリケーションは、MMOゲームと3Dグラフィックエディターをダクトテープでくっつけたものとか、ソーシャルネットワークを無限のボタンがついた古いテレビのリモコンに詰め込んだようなものである。
しかし、このプログラムの複雑さは、一種の入門儀式となった。新規ユーザーの99パーセントは、圧倒され、苛立ちを覚え、バーチャルワールドを初めて1時間も経たないうちにやめてしまう。しかし、ソフトウェアの使い方を学べるほど長く滞在した人たちは、たいていの場合、辛抱強い「古参」のコミュニティ・メンバーに指導され、稀有な排他的クラブに迎え入れられることになった。
Atlantic誌のファクトチェッカーは太字の箇所を強調し、SLビューアーが本当に複雑であることを証明するよう求めました。そこでWagnerは実際にプログラムを起動し、デフォルトの画面UIオプションを集計してみました:
「画面上には17のボタンとブラウザバー、それに7つのプルダウンメニューがあり、それぞれ11~19のオプションがあります。そして、その多くが複数のサブオプションやサブサブオプションを開きます。例えば、服を脱ぎたい場合、アバターメニューを選択し、テイクオフまでプルダウンし、4つのサブオプションと合計30のサブサブオプションの中から選択する必要があります。」
そう説明したところ、ファクトチェッカーはこの一節をそのままにしました。
しかもこの話は、Second Lifeの古参ユーザーのほとんどがサードパーティ製のビューワーを使っており、新しいユーザーには公式の(複雑な)ソフトウェアを使うのをやめて、ボランティア開発者のコミュニティによって非営利ベースで作成された、さらに複雑な非公式プログラムを使うように勧める傾向があるという事実に触れてもいないのです。(そんなことをしたら、ファクトチェッカーの仕事はさらに難しくなるでしょう)
長年LindenのエンジニアをしていたRichard Nelsonは、Wagnerの著書の中で次のように語っています。『”自分で仕事を選ぶ”というLindenのアプローチが、既存の機能セットを磨くことや、ユーザーが本当に必要なものを最初に構築するといったことを十分考慮せず、面白そうではあるが不完全な機能を次々と製品に追加することになりました。私は確かにこの罪を犯していました。』(ちなみにRichardは現在、Robloxのシニアエンジニアをしています。)
このような前例もあることから、Second Lifeモバイルビューワが今までとは違い、できるだけシンプルさを維持する努力をしていることに期待しています。熱心なSLユーザーにとっては、想像を絶するほど複雑なUIでも構いません。しかし本当のチャレンジは、潜在的なユーザー(将来的にはモバイルアプリから来る人がほとんどでしょう)に、何が可能かを素早く簡単に味わってもらうための漏斗を作ることです。
Wagnerと有名なバーチャルウェディングドレスクリエーターSparkle SkyeさんがポッドキャストでSecond Lifeについて語る
インターネット文化を紹介するポッドキャスト、2 Girls 1 Podcast にWagnerとSLクリエイターのSparkle Skyeさんが出演しました。
英語ですが、SpotifyとApple Podcastsで聴くことができます。Second Life20周年とメタバースの進化における役割について、楽しいエピソードを披露しました。内容注意: TTP、すなわちTime to Penis(空飛ぶペニスが登場するまでの時間ーユーザーにツールを渡すと、誰かがすぐにペニスを作り出すという意味)についての長い会話を含む、Second Lifeの奇妙でセクシーな領域にも触れています。
ほかにも、次のようなトピックが取り上げられています。
- SLのユーザーコミュニティーは企業と同じくらい儲かっている
- Second Lifeの結婚式
- Second Lifeのトランスコミュニティー
- 花火をまき散らす巨大トランプ像とバーニー・サンダース本部のガーゴイル(モンスター)攻撃
- モバイル版Second Lifeのプレビュー
さらに、SLで長年コンテンツクリエーターとして活動しているSparkle Skyeさんがショーに参加し、彼女の経験を話しています:
インワールドにある店の入り口にいるSparkleさん -- ここからテレポート。
彼女が話しているように、SkyeさんはSecond Lifeで服を作るために、実生活で高収入でもストレスの多いファイナンシャル・プランニングの仕事を辞め、カスタムSLウエディングドレスを作るというニッチなビジネスを始めました。そして、ある年には75,000ドルを稼ぎました。
Kindleで販売中:『Making Of Second Life』20周年記念版
Second Life20周年のお祝いは終わっていません。「The Making of Second Life」の特別新版がリリースされました。Kindle版が9.99ドル(1250円)で購入でき、Kindle Unlimitedで読むこともできます。
『Making a Metaverse That Matters』は、2008年に出版された、この本の続編であり、Second Lifeのコミュニティや、Linden Labのバーチャルワールドで初期に活躍したクリエイターについて書かれています。
カバーに素晴らしい紹介文を書いてくれた Philip Rosedale、そして新しいカバーを作ってくれたJucy BombのGogoに感謝します。
ポッドキャストのColete & Mattで、メタバース、VR、ゲーム&関連トピックについて熱く語る
ゲームがテーマのポッドキャスト「Colette & Matt Have Entered the Chat」は、金曜日や週末に聴くのにちょうどいい、とても楽しいゆるーいおしゃべりです。
出演者が全員ゲーマーなので、ほかのインタビューではあまり話さないようなトピックもたくさん入っています:
- ゲームの改造コミュニティがどのようにWagnerをSecond Lifeに導いたか
- Second LifeがThe Sims Onlineと競合するMMOとしてスタートした経緯
- Cory Ondrejkaが、どのようにFacebookをメタバースに持ち込み(そしてMetaになることに)貢献したか。
- Second Lifeの初期のゲームコミュニティ
- 初期のSecond Life、そこで起きたジェシー・ウォールの戦い、そしてFortniteの誕生などの出来事を結びつける話
- Second Lifeがゲームであってゲームでないという考えにつながった文化的緊張
- メタバースは万人向けか?(ネタバレ:そうでもない、少なくとも今はまだ。)
- Second Lifeを始めるには?(ネタバレ 強力なコンピュータを手に入れ、すでにSLユーザーである友人を見つけ、案内してもらう。)
- とてもクールな戦略ゲームのFights in Tight Spacesを含む、最近私がお気に入りのゲームについて(シングルプレイが多い)
ほかにもいろいろあります!
詳しくは…
Listen: Heavily Geeking Out On The Metaverse, VR, Gaming & Related Topics With Colete & Matt
VentureBeatのDean Takahashi氏とのMaking A Metaverse That Mattersインタビュー
VentureBeatのディーン・タカハシ氏とのポッドキャストインタビュー「Making a Metaverse That Matters」のトランスクリプトが公開されています。ポッドキャストは上のリンクから聴くことができます。そのなかのいくつかを紹介しましょう。本のタイトルの由来、通常考えられている「オープンなメタバース」に対してWagnerが感じる問題点、そして彼のバーチャル世界に対する見方を一変させたSecond Lifeでの偶然の出会いについてです:
「元の題は『Why the Metaverse Matters』でした。エージェントと私はそう話していたのです。そして本を出すタイミングを2023年と考えていました。Metaのメタバース戦略が台無しになるのはほぼ確実でした。そこで私たちは最初からやり直さなければならなくなったのです。このような理由でタイトルが『Making a Metaverse That Matters』になりました。Epic社のTim SweeneyやRoblox社、そのほかいくつかの大きなプラットフォームは非常にうまくいっているにもかかわらず、Metaはこの点で完全に失敗しています。そしてMetaが何をしても不釣り合いに重要視されます...。」
「オープンなメタバースについて語る人の多くは、ユーザーコミュニティが何を望んでいるのかについて話していないと思います。彼らは必ずしも、RobloxからFortniteへ、あるいはその逆へとジャンプすることを目標に掲げているわけではないのです。特定のバーチャルワールド、つまりメタバース・プラットフォームへのこだわりが非常に強くあります。オープンなメタバース、そう呼びたいのであれば、それは目標ですが、私たちはコミュニティのリードに従うべきであり、コミュニティの上に階層的に降りてきて、2Dのウェブモデルをリアルタイムで完全に没入型の仮想世界に当てはめようとするべきではないでしょう......。」
「私の最初の本『The Making of Second Life』が出版されたとき、私はビバリーヒルズの建築グループで講演をしました。Second Lifeで人々が何をしているのか見せてほしいと頼まれたのです。『(SLでは)ライブをしています。』と、私はランダムにこの場所にテレポートし、そこにはバイユークラブでブルースギターを演奏する黒人の老人のアバターがいました。私はこの男をクリックしました。彼のバイオグラフィーをクリックしたのです。」
「現実の彼は86歳のブルース・ギタリスト、Charles Bristolでした。私は適当に何かを見せるように言われたのですが、この男がここにいることさえ知りませんでした。彼はただそこに現れたのでした。本の中では、彼がメタバースでライブをすることになった経緯について触れています。彼の祖父母は奴隷でした。彼は80代です。どういうわけか、彼はメタバースに行き着きました。この本のテーマのひとつは、メタバース・プラットフォームを、Second Lifeのように多様でセレンディピティに富み、もっと大きなスケールにするには、どうしたらいいかということなのです。」
続きはこちらで。もちろん、本も入手して読んでください!
詳しくは…
Read/Listen: My Making A Metaverse That Matters Interview With VentureBeat's Dean Takahashi
Philip Rosedale とWagnerが、AIの台頭、VisionPro、そしてMaking A Metaverse That Mattersについて語る
★YouTubeの自動翻訳で日本語を選択すると日本語字幕が出ます。
7月にLindenLabで収録されたこの動画は、Philip Rosedaleの新しいYouTubeブログのゲストとしてWagnerが呼ばれ、Second Lifeや他のメタバース・プラットフォームの過去、現在、未来について深く掘り下げたものです。
Wagnerは、Covidのパンデミック依頼、直接会っていなかったPhilipと話をして、今後のプロジェクトについて垣間見たり、Making a Metaverse That Mattersと関連するトピックを掘り下げることができてとても嬉しかったとコメントしています。
動画の中で2人は、Second Lifeでもっと違ったことができたかもしれないとか、Blueberry、AM Radio、Bettina Tizzyのような有名なSLパーソナリティについても触れながら熱く語り合っています。
ほかのハイライトはこちら:
- 0:00 - プロローグ
- 1:50 - AIは俳優に取って代わるか?
- 6:00 - 仮想世界VS現実世界のジャーナリズム
- 10:00 - テキストと音声の両方を使ったコミュニケーション
- 11:58 - あなたはSLに「住んでいた」と言いますか?
- 13:50 - あらゆるSLシムを歩く
- 14:45 - SecondLifeのメインランドVSアイランド
- 16:50 - SLのテレポートはもっと違ったやり方がありましたか?
- 20:15 - みんながやりたいゲームは?
- 25:15 - SLは何が正しかったのか?
- 28:14 - Robloxのようなバーチャルワールドは子供に適しているか?
- 31:50 - SLで最も興味深い人々や物事
- 35:18 - もっと違ったやり方は?
- 43:34 - SLはモバイルで動くのか?
休憩!
- 46:29 - The State of Playカンファレンスとメタバースで世代の崖を乗り越えること
- 50:20 - バーチャルワールドは私たちをより良い人間にできるか?
- 55:58 - The Love Machine
- 58:45 - VRChat
- 1:03:20 - VRヘッドセットを使わない体の動き
- 1:05:00 - メタバース・プラットフォームで機能を変更するのが非常に難しい理由とTao Lindenのこと
- 1:10:03 - 仮想世界におけるWeb3?
- 1:13:40 - なぜ好奇心旺盛なジェネラリストは仮想世界を作るのに向いているのか?
- 1:16:15 - Second LifeのBitcoin自動販売機が暗号通貨の立ち上げに貢献した理由
- 1:17:00 - Vision Pro?
- 1:22:45 - FacebookがMetaになるのを見たとき、Philipがどう感じたか
- 1:25:10 - ChatGPTとBunnyGPTについて
- 1:27:00 - なぜメタバースはChatGPTよりもまだ多くの関心を集めているのか?
- 1:31:35 - 起業家へのアドバイス
情報開示: SFからLAへの旅費とおいしいサンドイッチはPhilipとLindenLabから提供されました。
来月のおすすめバーチャルワールドニュースもお楽しみに!
Snap Shot Location: NEO KABUTO CITY
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